このページは、記事「【石破発言を検証③】「通貨が下がれば金利は上がる」 裏が取れたのは、ここまで」の②の段と注2で使った計算の付録です。記事を読んだ人が、どのデータを、どの期間で、どう計算したかをたどれるように載せています。
この計算で分かるのは、円安と長期金利が、数週間から数か月のずれで一緒に動いた関係までです。円安が原因で長期金利が動いた分を確かめたものではありません(下の「言えること・言えないこと」)。
使ったデータ
- ドル円:日本銀行の時系列統計データ検索サイト(東京市場のスポット、17時時点、日次)。2026年10月6日に取得
- 日本の国債の金利(2年・10年・30年、日次):財務省「国債金利情報」。2026年10月6日に取得
- 米国の10年国債の金利(日次、ニューヨークの終値):米セントルイス連銀のデータベース FRED(元は米連邦準備制度理事会の統計)。取得日は記録していません
- 記事の「上げ幅」に使った10年の金利の月平均(2024年3月 0.754%、2026年8月 2.871%)は、財務省の日次の値から計算しました。ドル円の月中平均(149.70円、158.81円)は日本銀行の値です
期間
- 記事に使った期間:2024年3月19日(日本銀行が長期金利の上限をやめた日)から2026年10月5日まで。週で133週です
- 財務省の日次の表は2026年9月30日までなので、週の最後の取引日はそこまでです
計算の仕方
- 週ごとに、ドル円と国債の金利の両方がある最後の取引日を取りました。米国の10年の金利は、その日より前の最新の値です。米国の値が無い週は計算から外しました
- 円安の幅は、ドル円の自然対数の変化を%で表しました(プラスが円安)。金利の動きは bp(1bp=0.01ポイント)で表しました
- 式は次のとおりです。h は「何週後の金利の動きを見るか」で、4週・8週・13週・26週の4つを計算しました
h週後までの日本の金利の動き = 定数 + b1 ×(過去4週の円安の幅)+ b2 ×(過去4週の日本の金利の動き)+ b3 ×(h週後までの米国の10年の金利の動き)
- b1 が「円が1%安くなった後に、日本の金利が何bp動いたか」です。最小二乗法で求め、ばらつきの目安には、期間が重なるデータに使う方法(Newey-West の標準誤差)を使いました
- 金利の種類3つ × 何週後か4つ = 12通りを計算しました
結果(2024年3月19日以降)
円が1%安くなった後の、日本の金利の動き(bp)。括弧の中は、ばらつきの目安(p値)と、計算に使った週の数です。
- 2年の金利: 4週後 0.74(0.018・129)、8週後 1.63(0.002・125)、13週後 2.01(0.006・120)、26週後 0.65(0.431・107)
- 10年の金利: 4週後 0.91(0.064・129)、8週後 2.22(0.002・125)、13週後 2.44(0.003・120)、26週後 1.71(0.108・107)
- 30年の金利: 4週後 0.40(0.466・129)、8週後 0.38(0.575・125)、13週後 −0.63(0.605・120)、26週後 0.59(0.635・107)
- 太字が記事の値で、12通りのうちいちばん大きいものです
- 記事の数字の計算:2024年3月から2026年8月の円安の幅は、ドル円の月中平均で 5.91%。2.44bp × 5.91 = 約14bp(約0.14ポイント)。同じ期間の10年の金利の上げ幅は 2.12ポイントで、0.14 ÷ 2.12 = 約7%。上げ幅の1割に満たない、という記事の文はこの計算です
- 週の動きを毎週取るので、計算に使う期間が重なります。p値は目安にとどめ、記事は p値を根拠にしていません
言えること・言えないこと
- 言えること:2024年3月以降、円安の後8〜13週で、2年と10年の金利が同じ方向に動く関係が出ました
- 言えないこと(1):円安が原因で金利が動いた分。財政への不安や米国の金利が、円安と日本の長期金利を同時に動かした分は、米国の10年の金利をそろえても分けられません
- 言えないこと(2):半年より長くかけて、物価と日本銀行の利上げを通って効く分。見た期間は最長26週です
- 言えないこと(3):0.14ポイントは、数週間の動きで求めた値を2年半の円安の幅に当てはめた目安で、2.12ポイントの上げ幅の内訳を分けたものではありません。円安の影響の上限でも下限でもありません
ほかの条件での結果
- 2025年10月1日以降だけ(週で53):いちばん大きいのは10年・8週後の 2.62bp(p 0.003)。5.91%の円安に当てはめると約0.15ポイントで、上げ幅の約7%
- 2022年12月20日〜2024年3月18日(日本銀行が長期金利の上限を広げた後から、上限をやめる前まで):日本銀行が上限を変えるたびに金利が上がった時期で、その分と分けられないので、記事には当てはめていません
- 同じ週の動き(米国の10年の金利をそろえた計算):2024年3月以降、10年は −0.21bp(p 0.58)で、同じ週の円安と長期金利の重なりは、米国の金利の動きでほぼ説明がつきました
- 逆の順番(金利が上がった後の円安):2024年3月以降の全体では関係は出ませんでした。2025年10月以降だけでは、金利が上がった後に円高に動く関係が出ました
- 日次で同じ日の動きを計算すると、10年は 1.00bp(p 0.002)で、週次と違う結果になりました。理由は決着していないので、記事は週次の値だけを使いました
記録していないこと
- 米国の10年の金利のデータを取得した日時と、そのファイルの控えの印(ハッシュ値)
- 米国の値が無くて外した週の数
- 10年の金利の月平均(0.754%・2.871%)を計算した道具の名前
- 計算を回した Python の版
このページの数字は、記事の事実確認で、計算の記録と照らしています。誤りが分かったときは、訂正の方針に沿って直します。

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