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一次資料の最終確認 2026年10月28日

NOISE報道の見出し

タイムズカーやGMOの流出も、AIによる攻撃現代ビジネス

SIGNAL答え

GMOの件が違うのは、盗まれたおそれのある情報に、利用者がサーバーに置いた他社の証券・FX口座のログイン情報などが入っていた点だ。攻撃者は70を超える会社の口座で不正な操作を続けると脅したが、どこから侵入され、実際に何社で被害が出たかは公表されていない。

範囲GMOの第14報(10月28日)まで。侵入の手口の細部、FX各社の被害額、PayPayと攻撃側の統計は扱わない

根拠を見る出典訂正・更新

GMOインターネットは10月21日、FXの自動売買に使うサービス「お名前.com デスクトップクラウド」で不正アクセスがあったと発表した。現代ビジネスは見出しで、GMOの件をタイムズカーの流出などと並べ、AIによる攻撃の話として伝えた。GMOの件は、9〜10月に続いた流出と何が違うのか。

この問いは、何が盗まれたかと、どこから侵入されたかに分けて確かめる。何が盗まれたおそれがあるかは、これまでの流出と違う。どこから侵入されたかは、GMOがまだ公表していない。AIによる攻撃かどうかも、侵入の手口にかかわる話だ。AIを使う攻撃が日本の会社を狙っていたことは、国内の専門機関 JPCERT/CC と、GMOグループのセキュリティー会社が、攻撃に使われたサーバーを調べて確かめた(同じ日に出した「相次ぐ情報流出とAI」の記事で詳しく書いた)。ただ、GMOの件でAIが使われたかは示されていない。

答えを先に書くと、GMOの件で違うのは、盗まれたおそれのある情報に、ほかの証券会社やFX会社の口座のログイン情報が入っていた点だ。ここからは、何が盗まれたか、それで何が違うのか、手口に前例はあるか、どこから侵入されたかの順に見ていく。

GMOで盗まれたおそれがあるのは、ほかの会社の口座のログイン情報

影響を受けた可能性があるのは、デスクトップクラウドの利用者だ⁠。サーバーに口座のログイン情報を置いていた人は、その情報が盗まれたおそれがある。このサービスを使っていない人には、直接は関係しない。

デスクトップクラウドは、FXの売買を自動で続けるソフトを24時間動かすためのサービスだ。ネット上に借りたコンピューター(サーバー)でソフトを動かすので、自宅のパソコンの電源を切っていても売買を続けられる。利用者は、借りたサーバーに証券会社やFX会社の口座のログイン情報を保存して使う。

GMOは10月22日、サーバーに保存されていた取引口座のログイン情報などが第三者に取得され、不正に利用された可能性があると発表した。24日には、利用者の情報が外部に持ち出されたことを確かめた、と発表した。口座のログイン情報まで持ち出されたかは、「可能性」のままだ。一部の利用者からは、口座で身に覚えのない取引があったと報告が来ている。GMOは、不正アクセスが原因で利用者の意思によらない取引が行われた場合、その損失を補償するとした⁠。報告の件数や金額は公表されていない。

ほかの流出と並べると、違いは何が盗まれたおそれがあるかにある。タイムズカーやローソンなどで漏れたのは、会社が持っていた会員などの情報だ。同じ10月には、GMOリサーチ&AIやギフティのようにお金の被害が出た例もある。ただ、GMOリサーチ&AIで盗まれたのは自社の会員の情報で、被害もポイントの不正な交換だった。ギフティは個人情報の漏えいを確認しておらず、被害は電子ギフトの不正な発行だった。どちらも、ほかの会社の口座のログイン情報は入っていない。

何が盗まれたか(発表の言い方) 発表に書かれたお金の被害 どこから侵入されたか(発表の言い方)
タイムズカー・ソースネクスト・ローソンなど 会員などの情報 記述なし システムの弱点(脆弱性)など
GMOリサーチ&AI(アンケートのサイト) 会員の情報 ポイントが不正にギフト券に換えられた(611件・2,869,500円分) ソフトの弱点(脆弱性)
ギフティ 個人情報の漏えいは確認されていない 電子ギフト(eギフト)が不正に発行された システムの一部への不正アクセス
GMO(デスクトップクラウド) 利用者がサーバーに保存した他社の口座のログイン情報など(取得された可能性) 口座で身に覚えのない取引の報告(損失は補償すると発表) 調査中(公表なし)

GMOで盗まれたおそれがあるのは、利用者が借りたサーバーに置いていた、ほかの会社の口座のログイン情報だ。

GMOの利用者の名前や連絡先も漏れたかは、まだ分からない。

GMOは利用者に、パスワードをこのサーバー以外の端末から変えるよう求めている。パスワードを変えても、証券会社やFX会社の仕様によってはパスワードを変える前の接続がしばらく続き、第三者が取引を続けられる場合があるとも書く。そのため、各社の窓口に、すべての接続の切断を頼むことも求めている。

では、ほかの会社の口座のログイン情報が盗まれると、何が違うのか。

1つのサービスへの不正アクセスが、いくつもの会社の口座に及ぶおそれ

客の名前や連絡先が漏れれば、被害を受けるのはその会社の客だ。いくつもの会社の口座のログイン情報が1か所に集まっていれば、それらの会社の口座が不正に操作されるおそれがある。

デスクトップクラウドには、利用者それぞれが口座を持つ証券会社やFX会社のログイン情報が置かれていた。GMOは、サーバーで証券会社やFX会社などの取引ツールと口座のパスワードが使われていたと書く。サービスは1つでも、そこにはいくつもの会社の口座のログイン情報が集まっていたことになる。

1つのサービスへの不正アクセスが、いくつもの会社の口座の不正な操作につながるおそれがある。

攻撃者とみられる者は、GMOに約80億円を要求した。応じなければ、国内外の70を超える証券会社やFX会社などの口座への不正な操作を続ける、などと脅した。ただ、「70を超える」は攻撃者の主張だ。実際に何社の口座で被害が出たかは公表されていない。

脅しはほかにもあった。利用者のパソコンの情報やGMOのシステムの情報を公開する、利用者のパソコンを攻撃する、というものだ。攻撃者とみられる者は10月27日、GMOや利用者のものだとする情報を公開し、GMOはその中身を確かめている。利用者のパソコンについては、GMOが預かって調べた端末から、10月28日の発表の時点で、ウイルスに感染した形跡は確認されていない。

GMOは24日の発表で、データを暗号化したり盗んだりするだけでなく、一般の人の取引口座を狙って不正に操作する点を「前例のない手口」と書いた。この手口に前例があるかを、警察庁の資料と照らす。

口座を乗っ取る手口には、前例がある

一般の人の口座を狙うこと自体には前例がある。2025年には、証券会社をかたる偽のメールで情報が盗まれ、証券口座が乗っ取られた。警察庁によると、2025年の1年間で不正な売買は約7,408億円に上った⁠。

盗んだデータを公開すると脅す手口にも、前例がある。データを使えなくして、元に戻す代わりにお金を求める不正なプログラムを、ランサムウェアと呼ぶ。警察庁によると、その被害の多くでは、データを盗んだうえで、金を払わなければ公開するとも脅している。

発表に書かれた手口のうち、口座の乗っ取りと、データを公開するという脅しには前例がある。いくつもの会社の口座のログイン情報を集めた1つのサービスへの不正アクセスは、今回読んだ資料では前例が見つからなかった。

どこから侵入されたかは、まだ公表されていない

GMOは、守りに穴があったことは認めている。発表では、システムにセキュリティ上の問題があったと書いた。熊谷正寿代表はブログで、社内の専門家から事前に指摘されていた点への対応が足りず、そのすきを突かれたと書いた。ただ、その穴が何で、どこから侵入されたかは公表していない。GMOは10月22日から、調査中としている。

AIが使われたかも、公表されていない。熊谷代表はブログで、AIが生み出す無数の攻撃が守る側を圧倒する事態を「AIのサイバー飽和攻撃」と呼び、自社への攻撃を「まさにその象徴」と書いた。今回の侵入にAIが使われたかについては、ブログにも会社の発表にも記述は無く、使われていないとも書いていない。現代ビジネスの記事の本文も、GMOの件でAIが使われたとは書いていない。佐川急便やローソンなどの事件については、犯人がAIを使ったかは「まだ明らかにされていない」と書く。

どこから侵入されたか、AIが使われたかは、GMOが調査の結果を公表するか、警察の捜査で分かる。実際に何社の口座で被害が出たかは、GMOや証券会社・FX会社が件数を出せば分かる。GMOは、それをいつ公表するかを示していない。

どこから侵入されたか、AIが使われたかは、10月28日時点で公表されていない。

言われていることを、1つずつ確かめた。

言われていること 判定 理由
一般の人の取引口座を狙った「前例のない手口」⁠(GMO) 条件つき 一般の人の口座を狙う手口は2025年に前例がある。いくつもの会社の口座のログイン情報を集めた1つのサービスへの不正アクセスは、今回読んだ資料では前例が見つからない
タイムズカーとGMOの流出を並べて伝える(現代ビジネスの見出し) 条件つき 情報が持ち出された点は同じ。盗まれた物が違い、GMOでは他社の口座のログイン情報が盗まれたおそれがある
GMOの件もAIによる攻撃(見出しからの受け取り) 根拠が足りない GMOの発表にも代表のブログにも、この件でAIが使われたという記述は無い。否定もしていない。現代ビジネスの記事の本文も、GMOの件でAIが使われたとは書いていない

注

  1. 注1GMOインターネットは10月20日に、一部の利用者のサーバー環境に不正なプログラムが置かれたことを確かめ、21日に第1報を出した。影響を受けうるサーバーは26,739件(情報の取得が確かめられた件数ではない)。攻撃者とみられる者からの約80億円の要求は、10月21日に脅迫のメールで受けたと GMO は書く。
  2. 注2警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」は、2025年3月から5月にかけて証券口座への不正アクセスと不正取引が急増したと書く。2025年の1年間で、不正アクセスは1万7,668件、不正取引は9,824件、不正売買の金額は約7,408億円だった。
  3. 注3GMO は、補償の対象を「当社が、調査の結果、本件の不正アクセスに起因する不正取引であると認めた取引」の損失とする。申請方法・必要書類・受付期間・支払いの時期は11月6日までに案内するとしている。利用者の名前や連絡先などの基本的な情報が漏れたかは、GMO が確かめている最中で、公開が確認された人への特別のお見舞金の区分を設けている。

出典

一次資料2件・意見1件

一次資料のライブラリ 「暮らしの法律と手続き」の資料をまとめて見る →

根拠を見る(照合した記述 13か所)公開前の事実確認では、最初の照合(25か所)のうち6か所で、出典と合わない所や言い過ぎが見つかり、公開までに直した。

記事の事実の記述と、出典の該当箇所を並べた。事実確認の記録(10月28日まで)から作っている。

  1. 題名「GMOの情報流出、これまでと何が違うのか 狙われたのは証券口座のログイン情報」

    当事者の主張GMOインターネットグループ 第4報(2026年10月24日)該当箇所:第4報 4.の後段・具申の節 2.GMOインターネットグループ「不正アクセスに関するお知らせ」(第1報〜第14報、2026年10月21日〜28日)該当箇所:第2報 冒頭の段

  2. 「GMOインターネットは10月21日、」「「お名前.com デスクトップクラウド」で不正アクセスがあったと発表した。」

    当事者の主張お名前.com(第1報、2026年10月21日)該当箇所:冒頭の段

  3. 「影響を受けた可能性があるのは、デスクトップクラウドの利用者だ。サーバーに口座のログイン情報を置いていた人は、その情報が盗まれた…」

    当事者の主張GMOインターネットグループ「不正アクセスに関するお知らせ」(第1報〜第14報、2026年10月21日〜28日)該当箇所:第3報 1.概要・3.影響範囲

  4. 「GMO(デスクトップクラウド)」「利用者がサーバーに保存した他社の口座のログイン情報など(取得された可能性)」「口座で身に覚えのない取引の報告(損失は補償すると発表)」ほか1か所

    当事者の主張GMOインターネットグループ「不正アクセスに関するお知らせ」(第1報〜第14報、2026年10月21日〜28日)該当箇所:第2報・第3報 1.3.4.GMOインターネットグループ 第4報(2026年10月24日)該当箇所:第4報 冒頭の段・3.

  5. 「GMOの利用者の名前や連絡先も漏れたかは、まだ分からない。」注3「利用者の名前や連絡先などの基本的な情報が漏れたかは、GMO が確かめている最中で、公開が確認された人への特別のお見舞金の区分を…」

    当事者の主張GMOインターネットグループ「不正アクセスに関するお知らせ」(第1報〜第14報、2026年10月21日〜28日)該当箇所:第10報 1.①・第12報 ② 1

  6. 「パスワードを変えても、証券会社やFX会社の仕様によってはパスワードを変える前の接続がしばらく続き、第三者が取引を続けられる場合…」YOUR SIGNAL「デスクトップクラウドに口座の情報を置いていた人は、別の端末からパスワードを変え、証券会社やFX会社に、すべての接続の切断を頼む。」

    当事者の主張GMOインターネットグループ「不正アクセスに関するお知らせ」(第1報〜第14報、2026年10月21日〜28日)該当箇所:第3報・第5報 お客様へのお願い・第2報 お客様へのお願い

  7. 「攻撃者とみられる者は、GMOに約80億円を要求した。応じなければ、国内外の70を超える証券会社やFX会社などの口座への不正な操…」SIGNAL「GMOの件が違うのは、盗まれたおそれのある情報に、利用者がサーバーに置いた他社の証券・FX口座のログイン情報などが入っていた点…」

    当事者の主張GMOインターネットグループ 第4報(2026年10月24日)該当箇所:第4報 4.①GMOインターネットグループ「不正アクセスに関するお知らせ」(第1報〜第14報、2026年10月21日〜28日)該当箇所:第7報 これまでの経緯

  8. 「攻撃者とみられる者は10月27日、GMOや利用者のものだとする情報を公開し、GMOはその中身を確かめている。」

    当事者の主張GMOインターネットグループ「不正アクセスに関するお知らせ」(第1報〜第14報、2026年10月21日〜28日)該当箇所:第10報 1.①GMOインターネットグループ 第14報(2026年10月28日)該当箇所:第14報 ③ 1

  9. 「警察庁によると、2025年の1年間で不正な売買は約7,408億円に上った。」注2「警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」は、2025年3月から5月にかけて証券口座への不正アクセスと…」

    確認済み警察庁「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等」(令和7年の年間版・令和8年上半期版)該当箇所:令和7年版 p.30 コラム

  10. 「データを使えなくして、元に戻す代わりにお金を求める不正なプログラムを、ランサムウェアと呼ぶ。警察庁によると、その被害の多くでは…」

    確認済み警察庁「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等」(令和7年の年間版・令和8年上半期版)該当箇所:令和7年版 p.13 特集Ⅱ 1

  11. 「現代ビジネスの記事の本文も、GMOの件でAIが使われたとは書いていない。佐川急便やローソンなどの事件については、犯人がAIを使…」「GMOの発表にも代表のブログにも、この件でAIが使われたという記述は無い。否定もしていない。現代ビジネスの記事の本文も、GMO…」

    未確認現代ビジネス「タイムズカーやGMOの情報流出は始まりに過ぎない…!」(2026年10月28日)該当箇所:1ページ目 冒頭の段/3ページ目「雨あられのように降り注ぐ攻撃」の⁠節の終わり

  12. NEXT SIGNAL「GMOは11月6日までに、不正取引による損失の補償を申請する方法を案内する。GMOが調査で不正取引と認めた取引の損失を補償する。」

    当事者の主張GMOインターネットグループ 第4報(2026年10月24日)該当箇所:第4報 3.(1)・(5)

  13. 注1「影響を受けうるサーバーは26,739件(情報の取得が確かめられた件数ではない)。」

    当事者の主張GMOインターネットグループ「不正アクセスに関するお知らせ」(第1報〜第14報、2026年10月21日〜28日)該当箇所:第3報 3.影響範囲

出典の該当箇所まで示せる記述だけを載せている。誤りに気づいたらcontact@instrsignal.com へ。

注1

GMOインターネットは10月20日に、一部の利用者のサーバー環境に不正なプログラムが置かれたことを確かめ、21日に第1報を出した。影響を受けうるサーバーは26,739件(情報の取得が確かめられた件数ではない)。攻撃者とみられる者からの約80億円の要求は、10月21日に脅迫のメールで受けたと GMO は書く。

GMOインターネットグループ「不正アクセスに関するお知らせ」(第1報〜第14報、2026年10月21日〜28日)出典の一覧へ

注2

警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」は、2025年3月から5月にかけて証券口座への不正アクセスと不正取引が急増したと書く。2025年の1年間で、不正アクセスは1万7,668件、不正取引は9,824件、不正売買の金額は約7,408億円だった。

警察庁「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等」(令和7年の年間版・令和8年上半期版)出典の一覧へ

注3

GMO は、補償の対象を「当社が、調査の結果、本件の不正アクセスに起因する不正取引であると認めた取引」の損失とする。申請方法・必要書類・受付期間・支払いの時期は11月6日までに案内するとしている。利用者の名前や連絡先などの基本的な情報が漏れたかは、GMO が確かめている最中で、公開が確認された人への特別のお見舞金の区分を設けている。

GMOインターネットグループ「不正アクセスに関するお知らせ」(第1報〜第14報、2026年10月21日〜28日)出典の一覧へ

記事番号 2026-10-28-03 誤りの指摘と訂正の記録

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