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一次資料の最終確認 2026年10月2日

NOISEよくある受け取り方

免許証の画像は一生もの。だから賠償も高くなる

SIGNAL答え

受け取れる金額も時期も未定だ。氏名や住所の漏えいの判決は数千円が多く、漏れた中身と二次被害で上がる。

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STRUCTUREこの記事の構造

賠償は、起きた損害をお金で埋めるもの

名前や住所は、プライバシーの侵害が比較的軽い

名前や住所の漏えいの慰謝料は、多くが数千円

漏れた情報が悪用されると、慰謝料が上がる

Instr Signal を運営する僕の免許証画像も、カーシェアのタイムズカーから漏れた。その画像を10万円でも知らない人に売る気は無く、弁護士が参加を募る集団訴訟に加わるかを考えている。だが、不正アクセスを受けた会社の補償は、まだ決まっていない。裁判なら、名前や住所が漏れた過去の事件の慰謝料は多くが1人数千円で、確定まで年単位かかる。

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いくら、いつ受け取れるのか

タイムズカーを運営するタイムズモビリティは、補償を、外部の専門機関の調査結果を踏まえて決める予定だ。時期は示されていない。名前や住所が漏れた Yahoo! BB とベネッセの事件では、会社が500円分の金券などを配った。内閣府の研究所の論文誌の論文は、お詫びの金額に「『相場』が形成されているようにも思われる」と書く。⁠

判決の慰謝料は、ベネッセ事件で多くが3,000円、Yahoo! BB で5,000円だった⁠。主な判決でいちばん高い慰謝料は、漏れた情報が悪用される二次被害が出た事件のものだ。免許証の画像の漏えいで慰謝料を決めた判決は、今回の調べでは見つからなかった⁠。ベネッセ事件の原告代理人だった金田万作弁護士は、顔は変えられないのでより高い慰謝料もありうるとみる。

確定までの長さは、事件によって違う。ベネッセ事件では東京地裁の判決が2024年12月に確定し、漏えいから10年余りかかった⁠。Yahoo! BB の裁判は、2006年の地裁判決の翌年、2007年12月に確定した。⁠

あなたの免許証、10万円で売りますか?
写真:Tatawidepine/Wikimedia Commons(Public domain)

判決の慰謝料が、売る値段より低い理由

僕が付けた10万円は、画像を売るときの値段だ。売る値段は、知らない人に使わせる代わりに受け取る金額で、持ち主が決める。

裁判の慰謝料は、測り方が違う。賠償は、起きた損害をお金で埋め、漏えいが無かったときの状態に戻すためのものだ⁠。心の苦痛も、この損害に入る。だから、漏れた情報がまだ悪用されていない段階では、埋める損害は小さく見られやすい。

会社が先に配った金券も、賠償の計算に含まれる。Yahoo! BB の裁判では、この金券が賠償の一部の支払いとされた⁠。⁠

二次被害が出ると、慰謝料は上がる

慰謝料の金額は、漏れた情報の中身と漏れ方で変わる。名前や住所は、すでに知られていることも多く、プライバシーの侵害としては比較的軽い。エステの施術コースのように、ふつう他人が知り得ない情報まで漏れると、裁判では侵害が重く見られる。情報がネットで広まって回収できないときは、慰謝料が上がる。漏れた情報が悪用されて、嫌がらせのメールなどが届く被害(二次被害)が出たときも上がる。⁠

エステティックサロンの事件では、顧客の情報がネット上で第三者が見られる状態になった。二次被害を受けた原告の慰謝料は3万円だった。二次被害が認められなかった原告は、これより低い1万7,000円だった⁠。

タイムズカーでは今のところ、情報が広く公開されたり、不正に使われたりした事実を会社は確認していない。このままなら、慰謝料は前例のうち名前や住所の事件の数千円に近い。二次被害が出たり、画像の中身が重く見られたりすれば、高い方の前例に近づく。会社は、本人確認書類の漏えいが確認された会員に、漏れた情報の詳細を知らせる。9月29日の発表では「2週間程度を目処に」としている。⁠

会社に過失があったか、免許証の画像にいくらの慰謝料が認められるかは、訴えがあれば裁判所が決める。集団訴訟の仕組みと、登録するとお金がかかるかは、タイムズカーの集団訴訟の記事にある。

注

  1. 注1判決の金額は、ベネッセ事件の多くが1人3,300円(慰謝料3,000円と、判決が会社に支払いを命じた弁護士費用300円。300円は原告が自分の弁護士に払う報酬とは別)。Yahoo! BB は2006年の大阪地裁の判決が1人6,000円(慰謝料5,000円と弁護士費用1,000円)。
  2. 注2Instr Signal が2026年10月2日に、ネットの検索で調べた範囲。裁判所の判例検索のすべては見ていない。
  3. 注32023年2月の東京地裁判決を、東京高裁が2023年12月に支持し(控訴棄却)、最高裁が2024年12月に上告を退けて確定した。ベネッセの顧客の情報は2014年に漏れた。
  4. 注4最高裁の1993年の大法廷判決は、損害賠償を「被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し」、「不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とする」ものとした。賠償の責任は民法709条(故意か過失による権利の侵害)、心の苦痛は710条(財産以外の損害)による。
  5. 注52007年の大阪高裁は慰謝料を5,000円とし、500円分の金券を賠償の一部の支払いとした。高裁が命じた1人5,500円の賠償が確定したと、INTERNET Watch が報じた。
  6. 注62007年の東京高裁判決の金額は、二次被害を受けた原告が3万5,000円(慰謝料3万円と、判決が会社に支払いを命じた弁護士費用5,000円)。二次被害が認められず、かつ会社から既に3,000円の支払いを受けたと認められた原告は、慰謝料1万7,000円と弁護士費用5,000円だった。

出典

一次資料13件・報道4件

一次資料のライブラリ 「暮らしの法律と手続き」の資料をまとめて見る →

根拠を見る(照合した記述 6か所)公開前の事実確認では、最初の照合(23か所)のうち4か所で、出典と合わない所や言い過ぎが見つかり、公開までに直した。

記事の事実の記述と、出典の該当箇所を並べた。事実確認の記録(10月2日まで)から作っている。

  1. 「名前や住所が漏れた Yahoo! BB とベネッセの事件では、会社が500円分の金券などを配った」

    ベネッセ「事故の概要」

  2. 「内閣府の研究所の論文誌の論文は、お詫びの金額に「『相場』が形成されているようにも思われる」と書く」

    確認済み高口鉄平「パーソナルデータの経済価値~把握の困難性と個人の認識~」(内閣府経済社会総合研究所『経済分析』第209号、2024年)該当箇所:4.3

  3. 「Yahoo! BB の裁判は、2006年の地裁判決の翌年、2007年12月に確定した」

    INTERNET Watch「Yahoo! BB顧客情報流出の損害賠償訴訟、1人5,500円の賠償が確定」(2007年12月17日)該当箇所:冒頭と第3段落

  4. 「会社が先に配った金券も、賠償の計算に含まれる。Yahoo! BB の裁判では、この金券が賠償の一部の支払いとされた」

    個人情報保護委員会 事務局(2024年11月12日の検討会の資料2。漏えいなどで慰謝料が認められた事例)ITmedia NEWS「Yahoo!BB情報流出で1人6000円の賠償命令」(2006年5月22日)INTERNET Watch「Yahoo! BB顧客情報流出の損害賠償訴訟、1人5,500円の賠償が確定」(2007年12月17日)該当箇所:冒頭

  5. 「漏れた情報が悪用されて、嫌がらせのメールなどが届く被害(二次被害)が出たときも上がる」

    確認済み内閣官房「サイバーセキュリティ関係法令Q&Aハンドブック Ver2.0」Q61(2023年9月)該当箇所:Q61、300頁、漏えいの態様の説明

  6. 「タイムズカーでは今のところ、情報が広く公開されたり、不正に使われたりした事実を会社は確認していない」

    タイムズカー(第2報。2026年9月28日、10月1日更新)

ここから先は推論です。筆者の判断で、出典との照合はしていません。

  1. 「このままなら、慰謝料は前例のうち名前や住所の事件の数千円に近い。二次被害が出たり、画像の中身が重く見られたりすれば、高い方の前…」

    推論筆者の判断(事実確認の⁠対象外)

出典の該当箇所まで示せる記述だけを載せている。誤りに気づいたらcontact@instrsignal.com へ。

なぜそう言える?

確認済み内閣官房「サイバーセキュリティ関係法令Q&Aハンドブック Ver2.0」Q61(2023年9月)該当箇所:Q61、300頁、漏えいの態様の説明出典の一覧へ

なぜそう言える?

タイムズカー(第2報。2026年9月28日、10月1日更新)出典の一覧へ

推論「このままなら、慰謝料は前例のうち名前や住所の事件の数千円に近い。二次被害が出たり、画像の中身が重く見られたりすれば、高い方の前例に近づく」は⁠筆者の判断

注1

判決の金額は、ベネッセ事件の多くが1人3,300円(慰謝料3,000円と、判決が会社に支払いを命じた弁護士費用300円。300円は原告が自分の弁護士に払う報酬とは別)。Yahoo! BB は2006年の大阪地裁の判決が1人6,000円(慰謝料5,000円と弁護士費用1,000円)。

注2

Instr Signal が2026年10月2日に、ネットの検索で調べた範囲。裁判所の判例検索のすべては見ていない。

注3

2023年2月の東京地裁判決を、東京高裁が2023年12月に支持し(控訴棄却)、最高裁が2024年12月に上告を退けて確定した。ベネッセの顧客の情報は2014年に漏れた。

注4

最高裁の1993年の大法廷判決は、損害賠償を「被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し」、「不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とする」ものとした。賠償の責任は民法709条(故意か過失による権利の侵害)、心の苦痛は710条(財産以外の損害)による。

注5

2007年の大阪高裁は慰謝料を5,000円とし、500円分の金券を賠償の一部の支払いとした。高裁が命じた1人5,500円の賠償が確定したと、INTERNET Watch が報じた。

注6

2007年の東京高裁判決の金額は、二次被害を受けた原告が3万5,000円(慰謝料3万円と、判決が会社に支払いを命じた弁護士費用5,000円)。二次被害が認められず、かつ会社から既に3,000円の支払いを受けたと認められた原告は、慰謝料1万7,000円と弁護士費用5,000円だった。

記事番号 2026-10-02-06 誤りの指摘と訂正の記録