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集団訴訟の登録は、
ベネッセ事件は
期限切れの画像で、
残るお金は、
カーシェアのタイムズカーで9月25日に不正アクセスが見つかり、約160万件のアカウントで、運転免許証などの本人確認書類の画像まで漏れた。この漏えいで牧野法律事務所が参加を募る集団訴訟は、登録だけならお金はかからず、費用は後日案内される額に合意したときにだけ払う。名前や住所などが漏れたベネッセ事件では、判決の多くが1人3,300円だった。免許証の画像まで漏れた今回はより高い慰謝料もありうると、同事件で原告の代理人を務めた弁護士はみる。筆者(Instr Signal の運営者)も対象の会員で、参加を考えているが、まだ決めていない。
登録だけでは、お金はかからない
今回の集団訴訟は、被害者が一人ずつ牧野法律事務所(牧野裕貴弁護士、東京弁護士会)に裁判を頼み、原告団としてまとめて東京地裁に訴える形だ。事務所は9月30日未明に受け付けを始め、参加を希望した人は10月1日午後6時の時点で2,000人を超えた。画像が漏れた人には、タイムズカーを運営するタイムズモビリティが9月29日からメールで知らせていて、メールには確認できた漏えいの情報が書かれている。
事務所のサイト(弁護士の業務広告)によると、登録は「参加意思の表明」にとどまる。弁護士に裁判を頼む契約(委任)は、後日の案内を見て委任状と委任契約書を出した時点で結ぶ。費用は「後日ご案内」で、「ご案内の費用に合意しない限り、一切お支払いは生じない」とある。登録した時点では、費用の額も、事務所が提訴するかも決まっていない。

ベネッセ事件は多くが1人3,300円
ベネッセ事件は、通信教育のベネッセの顧客の情報が2014年に漏れた事件だ。判決の3,300円は、慰謝料3,000円に、原告が弁護士を頼んだ分としてベネッセ側に払わせた300円を足した額で、原告が自分の弁護士に払う額は、これとは別に契約で決まる。1人3,300円を命じた2023年2月の東京地裁判決が確定したのは2024年12月で、漏えいから10年余りたっていた。
慰謝料は、精神的な苦痛への賠償だ。今回について、ベネッセ事件で原告の代理人を務めた金田万作弁護士は「より高い慰謝料が認められる可能性は十分にある」とみる。事務所のサイトが挙げる過去の判決では、身体的特徴なども漏れたエステサロンの事件で、2007年に東京高裁が1人3万円の慰謝料と5,000円の弁護士費用を認めている。タイムズモビリティは、補償を外部専門機関の調査の結果を踏まえて決める予定だ。
期限切れの画像なら、 カードは作りにくい
筆者は最新の免許証をタイムズカーに登録していないので、更新前の、有効期限が2025年より前に切れた免許証の画像が漏れたと考えている。ただ、どの画像が漏れたかは、まだ確かめられていない。
銀行やカード会社、携帯電話会社が契約のときにする本人確認では、国の決まり(犯罪収益移転防止法の施行規則など)で、使える免許証は有効期限内のものに限られる。期限切れの画像では、筆者の名前でカードや口座を作られるおそれは小さいが、なりすましやフィッシングに使われるおそれは残る。名前と生年月日は今と同じで、写っているのも本人の顔だからだ。フリマやマッチングのアプリ(個人どうしで売り買いや出会いをするアプリ)で身元を偽る使い方、偽のメールなどで情報を盗み取るフィッシング、期限の欄を書き換える偽造には、期限切れであることは歯止めにならない。
タイムズカーは、会員ごとに漏れた情報の詳細を「2週間程度を目処に」あらためて知らせるとしているが、どの免許証の画像かまで書かれるかは分からない。会社が持っている自分の情報は、開示を求める「保有個人データの開示請求」で確かめられる。タイムズモビリティへの請求は郵送で、手数料は1,000円、回答は請求書の受け取りから1か月以内だ。
費用の案内は、登録者が集まった後
勝っても、手元に入るのは、判決で取れた額から弁護士への報酬を引いた分だ。ベネッセ事件の2つの弁護団は、どちらも着手金をとらず、3,300円の判決なら報酬が1人数百円になる決め方だった。今回の事務所の牧野弁護士は、費用は検討中としたうえで、「被害回復が目的なので、ほぼ残らないということはないような設計にしたい」と ITmedia NEWS の取材に答えている。
事務所のサイトでは、費用と手続きの案内は「登録者が一定数に達した段階」で出し、提訴するかは委任書類が一定数に達した段階で判断するとしていて、日付も登録の締め切りも書かれていない。不法行為で賠償を求める権利は、損害と加害者を知った時から3年使わないと、時効で消える(民法724条・724条の2。人の生命や身体を害した場合は5年)。この3年は、事務所の登録の締め切りとは別の期限だ。
集団訴訟の参加希望の受け付けは、牧野法律事務所の専用サイト「タイムズカー情報漏洩 集団訴訟」(弁護士の業務広告)で行われている。事務所のサイトによると、登録しても、後日案内される費用に合意しない限り支払いは生じない。Instr Signal は、この事務所から対価を受けていない。
注
- 注1最高裁が2017年に判断を示した後の判決で認められた金額は、1人1,000〜4,000円だった。1,000円と2,000円は慰謝料だけを求めた裁判で、4,000円は、ベネッセ個人情報漏えい被害対策弁護団によると、弁護士費用を1,000円と認めた2021年の東京高裁判決(2022年に確定)。
- 注22023年2月の東京地裁判決は、原告のうち漏えいの対象と確かめられた人に1人3,300円を認め、ほかの請求は退けた。判決の金額には、別に年5%の遅延損害金が付く。
- 注33万円は、迷惑メールなどの2次被害を受けた原告の慰謝料。2次被害が認められず、会社から3,000円を受け取っていた原告は、慰謝料1万7,000円と弁護士費用5,000円だった。
- 注4被害対策弁護団は、判決が弁護士費用として認めた金額(多くは300円。2021年の4,000円の判決では1,000円)を報酬にした。ベネッセ個人情報漏洩事件 被害者の会は、その金額と、支払いが決まった損害賠償額(判決が別に認めた弁護士費用を除く)の15%(消費税別)の大きい方を報酬にした(3,300円の判決なら、3,000円の15%の450円と消費税)。実費の扱いは弁護団で違い、1人ごとの精算額は公表されていない。
出典
- パーク24
(タイムズカーWebシステムへの 一次資料不正アクセス 第1報、 2026年9月25日・ 26日追記) - タイムズカー
(不正アクセスに関する 一次資料お知らせ 第3報、 2026年9月29日・ 10月1日更新) - タイムズモビリティ
「タイムズカーWebサイトへの 一次資料不正アクセスに関し よくある ご質問」 (2026年10月1日) - タイムズモビリティ
「保有個人データ開示等の 一次資料請求等に関する 手続きについて」 - 犯罪による収益の
移転防止に関する 一次資料法律施行規則 第7条 (e‑Gov 法令検索) - 携帯音声通信事業者に
よる契約者等の 一次資料本人確認等及び 携帯音声通信役務の 不正な利用の 防止に関する 法律施行規則 第5条 (e‑Gov 法令検索) - 民法
第724条・第724条の2 一次資料(e‑Gov 法令検索) - ITmedia Mobile
(2026年9月29日) 報道 - 牧野法律事務所
「タイムズカー情報漏洩 集団訴訟」 (弁護士の業務広告) - 弁護士ドットコムニュース
(2026年10月1日、 報道金田万作弁護士への取材) - 弁護士ドットコムニュース
(2026年10月1日、 報道参加希望2000人超) - ベネッセ
「事故の概要」 一次資料 - 弁護士ドットコムニュース
(ベネッセ事件 報道東京地裁判決、 2018年12月。 原告代理人の 金田弁護士への取材) - 東京地裁
2023年2月27日判決 一次資料(ベネッセ事件。裁判所) - 大阪高裁
2019年11月20日判決 一次資料(ベネッセ事件。裁判所) - 東京高裁
2019年6月27日判決 一次資料(ベネッセ事件。裁判所) - ベネッセ個人情報漏えい
被害対策弁護団 一次資料「ベネッセに対する 集団訴訟 参加要領」 (2014年12月27日) - 同
「ベネッセ 一次資料3次訴訟・高裁判決の ご報告」 (2021年5月27日) - 同
「ベネッセ 一次資料3次・ベネッセ側の 上告棄却・ 不受理」 (2022年6月20日) - ベネッセ個人情報漏洩事件
被害者の 一次資料会(参加費用と Q&A。 2014年12月6日の保存) - 同(判決の
確定。 2025年1月25日の保存) - 内閣官房
「サイバーセキュリティ 一次資料関係法令 Q&A ハンドブック Ver2.0」 Q61 (2023年9月) - ITmedia NEWS
(2026年10月2日、 報道牧野裕貴弁護士への取材)
一次資料のライブラリ 「暮らしの
注1
最高裁が2017年に判断を示した後の判決で認められた金額は、1人1,000〜4,000円だった。1,000円と2,000円は慰謝料だけを求めた裁判で、4,000円は、ベネッセ個人情報漏えい被害対策弁護団によると、弁護士費用を1,000円と認めた2021年の東京高裁判決(2022年に確定)。
注2
2023年2月の東京地裁判決は、原告のうち漏えいの対象と確かめられた人に1人3,300円を認め、ほかの請求は退けた。判決の金額には、別に年5%の遅延損害金が付く。
注3
3万円は、迷惑メールなどの2次被害を受けた原告の慰謝料。2次被害が認められず、会社から3,000円を受け取っていた原告は、慰謝料1万7,000円と弁護士費用5,000円だった。
注4
被害対策弁護団は、判決が弁護士費用として認めた金額(多くは300円。2021年の4,000円の判決では1,000円)を報酬にした。ベネッセ個人情報漏洩事件 被害者の会は、その金額と、支払いが決まった損害賠償額(判決が別に認めた弁護士費用を除く)の15%(消費税別)の大きい方を報酬にした(3,300円の判決なら、3,000円の15%の450円と消費税)。実費の扱いは弁護団で違い、1人ごとの精算額は公表されていない。
記事番号 2026-10-02-04 誤りの指摘と訂正の記録
訂正(2026年10月2日):ベネッセ事件の判決を「1人1,000〜3,300円」と書いていましたが、多くの原告の判決は1人3,300円(慰謝料3,000円と、判決が認めた弁護士費用300円)で、幅の両端は中身が違い、4,000円の判決も抜けていました。多くが3,300円であることと内訳を書き、幅は注に移しました。「勝てば、判決の額から弁護士費用を引いた分が手元に残る」は、判決が認めた弁護士費用と、原告が自分の弁護士に払う報酬を区別しない書き方だったため、ベネッセ事件の弁護団が着手金をとらず、報酬が1人数百円になる決め方だったことを書き足しました。あわせて、判決が確定した時期と、漏れた画像の確かめ方の書き方を改め、エステサロンの事件の弁護士費用の額を足しました。
訂正(2026年10月20日):答え(シグナル)の2文目で、ベネッセ事件の弁護士の報酬を「多くが1人数百円だった」と書いていたのを、今回の訴訟でいくらかかるかは10月2日時点で決まっていないという文に改めました(ベネッセ事件の報酬は弁護団ごとの決め方で、1人ごとの精算額は公表されておらず、今回の費用の目安とも読める並びだったため。報酬の決め方は本文と注4に残しています)。
以前の答え:タイムズカーの集団訴訟は、登録だけなら費用はかからない。ベネッセ事件では、弁護士の報酬は多くが1人数百円だった。
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