約9分で読める

更新 2026年10月28日

NOISEよくある受け取り方

日経平均、過去3番目の下げ幅NHK・テレビ朝日系・時事通信など7媒体の見出し

SIGNAL答え

下げ幅の86%はAI・半導体13銘柄、65%は上位3銘柄。TOPIXも下げたが、下落率は日経平均の約半分。

範囲10月15日の日経平均の下げの中身と時刻。誰が売ったかと、この先の株価は扱わない

出典

更新あり(10/28)

STRUCTUREこの記事の構造

AI・半導体13銘柄は前日の日経平均の約4割

15日、13銘柄は平均で約11%下げた

日経平均の下げ幅の86%を13銘柄が作った

日経平均の下落率はTOPIXの約2倍に

15日は日経平均型の投資信託が大きく下げた

10月15日の日経平均株価は3,318円安く終わり、下げ幅は1949年以降で3番目だった。編集部の計算では、下げ幅の86%はAI・半導体の13銘柄の値下がりで、押し下げの大きい上位3銘柄(アドバンテスト・東京エレクトロン・ソフトバンクグループ)だけでも65%になる。市場全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)も2.38%下げたが、下落率は日経平均(4.90%)の約半分だった。AI・半導体株は前日の米国でも売られていた。東京で取引中に下げが広がった理由と売った投資家は、公表された資料からは分からない。

前日は13銘柄で日経平均の4割近く

日経平均は、日本経済新聞社が選んだ225銘柄の株価に係数(株式分割などに合わせて日経が銘柄ごとに決める数)を掛け、足し合わせた指数だ。このため、株価に係数を掛けた値の大きい銘柄(値がさ株)ほど指数を大きく動かす。

13銘柄は、半導体の製造装置6社、半導体と材料3社、AIに投資するソフトバンクグループ、データセンター向けの基板・電線3社で、編集部が選んだ⁠。選んだ基準は、半導体の製造とデータセンターにかかわるか、AIに投資しているかで、電子部品や工場の自動化の会社は入れていない。14日の終値で、13銘柄は日経平均の37.6%を占めていた。

銘柄ごとに日経平均を何円動かしたか(寄与度)で見ると、15日は13銘柄で2,865円押し下げた。値上がりした銘柄の分を差し引いた下げ幅(3,318円)で割ると86%になる。値下がりした銘柄の押し下げだけを足した3,671円で割ると、78%だ。

この割合は銘柄の選び方で変わる。製造装置の6社だけなら59%、対象を電子部品の4社まで広げると94%になる。上位3銘柄の65%は、選び方に左右されない。製造装置の6社に絞っても、電子部品の4社を加えても、下げ幅の過半はこれらの銘柄が作った。

日経平均3318円安、下げはAI・半導体13銘柄に集中 TOPIXの下落率は約半分
写真:Suicasmo/Wikimedia Commons(CC0)

TOPIXは2.38%安、下落率は日経平均の約半分

13銘柄を1つも含まない小型株の指数TOPIX Smallも2.41%安で、市場全体も下げていた。

15日の13銘柄の下落率を、日経平均の中で占める割合(重み)に応じて平均すると11.26%になる⁠。13銘柄の重みは日経平均で37.6%、TOPIXで約1割だったので、日経平均の下落率はTOPIXの約2倍になった。

日経平均とTOPIXの下落率を、13銘柄の分とそれ以外の分に分けると次のようになる(編集部の計算)。

日経平均 TOPIX
13銘柄の重み 37.6%(14日の終値) 約1割(8月31日時点)
下落率 4.90% 2.38%
うち13銘柄 4.2ポイント 約1.0ポイント
うちそれ以外 0.7ポイント 約1.4ポイント

差を生んだのは13銘柄の分で、13銘柄以外の分はむしろTOPIXのほうが大きかった。TOPIXの重みは8月31日時点の値なので、TOPIXの分は概算だ。日経平均の数字だけで13銘柄の重みを約1割にしても、下落率は2.09%とTOPIXに近くなる。

日経平均は、終値で最高値をつけた6月25日から15日までに10.97%下げた。同じ期間に、TOPIXは0.43%安にとどまった。

仮に日経平均に連動する投資信託を100万円持っていたら、15日の1日で約4.9万円の値下がりになる。TOPIXに連動するものなら約2.4万円だ(手数料や指数とのずれは考えない)。

報道の「過去3番目」は下げ幅の順位だ。1位は2024年8月5日、2位は1987年10月20日だ。前日の終値67,744円は、1987年10月20日の暴落の前日(10月19日)の終値25,747円の約2.6倍で、同じ率で下げても下げ幅は大きくなる。下落率(4.90%)で並べると、1949年以降で50番目より下になる。1987年10月20日は14.90%安、2024年8月5日は12.40%安だった。ただ今年に限ると、3月9日(5.20%安)に次ぐ2番目の大きさだった⁠。

米国で株安、東京では午前に下げが広がった

14日の米国では、半導体株指数(SOX)が4.30%下げ、CoreWeave(データセンターでAI向けの計算能力を、借金で整えて貸す会社)の株価は15.46%安だった。

日経平均の先物では、その日の下げのうち半分以上が、株の取引が始まる前の朝8時45分の時点ですでに出ていた。株の取引が始まると、13銘柄の押し下げは寄り付き(その日最初の売買)の1,317円から、午前の取引が終わる11時30分には2,734円と約2倍に広がった⁠。韓国でも同じ日に株価が急落した⁠。

売り手の手がかりは、日本取引所グループ(JPX)が毎週第4営業日に出す投資部門別売買状況(海外投資家や個人など、投資家の種類ごとの売りと買いの集計)だ。15日を含む週(12日は祝日で、13〜16日の4日間)の分は10月22日に出る見込みで、その4日間に海外投資家が売り越した(売りが買いを上回った)かは分かるが、15日の午前に海外投資家が売り越したかは分からない。

財務不安の数字はCoreWeaveに。15日の売りの理由かは不明

時事通信は「AI企業に財務不安」、テレビ朝日系は「AI企業への不安強まる」と報じた。CoreWeaveは、4〜6月期(8月11日公表)の本業の損益(営業損益)が4,900万ドルの赤字で、6億4,000万ドルの利払い(借金の利息の支払い)を本業のもうけでまかなえていなかった。一方で、これから売上になる契約(受注残)は6月末時点で約1,040億ドルあった。10月1〜15日に、会社は重要な出来事の届け出(8-K)を出していない。報道の「財務不安」を支える数字はCoreWeaveの書類にあるが、15日に東京で売られた理由かどうかは、公表された資料からは分からない。

10月15日時点で、エヌビディアやオラクルなど、調べた主なAI・半導体企業(一覧は調べ方)が10月1〜15日に米証券取引委員会(SEC)へ出した書類に、AIの設備投資を減らすという発表は無い。台湾のTSMCとオランダのASMLの7〜9月期の決算にも無い。マイクロソフト・アルファベット・アマゾンの4〜6月期の設備投資は、前年同期の1.7〜2.1倍だった。

ただ、14日に調査会社ガートナーは、AIインフラへの支出のうち3.5兆ドル超が2030年末までに減損(設備の価値を帳簿で切り下げること)の対象になりうると予測した⁠。資料で言えるのは、不安を支える数字がCoreWeaveの書類とガートナーの予測にあることと、主な会社にAI投資を減らす発表が15日の時点で無いことまでだ。

調べ方

  • 日経平均の終値と順位: 日経の公式の日次データと、セントルイス連銀のFRED(1949年〜)をつないで、前日比を並べた(編集部の計算)。
  • 押し下げ(寄与度): 日経の算出要領の式で、銘柄ごとに計算した。係数は日経の公表値、無い銘柄は報道の数字から逆算した。公式の係数がある6銘柄は、フィスコの寄与度の一覧と小数点以下2桁まで一致した。65%を作った上位3銘柄の係数は、どれも日経の公表値。公表値の係数を使った6銘柄で、13銘柄の押し下げの87%になる。除数は日経の日次サマリーの値(ページは開けず、検索の結果で確かめた)。
  • 時刻ごとの押し下げ: JPXのサイトの1分ごとの株価(QUICK提供)に同じ式を当てた。株価そのものは載せていない。
  • 過去1年との比較: 2025年10月2日〜2026年10月15日のうち、SOXが3%以上下げた翌日の東京の取引35日(JPXの日足。SOXはNasdaq Global Indexesの終値)で比べた(編集部の計算)。
  • 会社の資料: エヌビディア・オラクル・マイクロソフト・アルファベット・アマゾン・デル・ブロードコム・AMD・マイクロン・マーベル・CoreWeave・Nebius(オランダ)・DigitalOceanが10月1〜15日に米SECへ出した書類と、TSMCとASMLの7〜9月期の決算。設備投資の伸びは、マイクロソフト・アルファベット・アマゾンの4〜6月期の決算資料で確かめた。
  • 分からないこと: 東証の日報(15日分)は15日夜の時点で未公表。韓国の投資家別の売買は取れなかった。6月からの流れや13日の下げが15日にどう効いたかは切り分けられない。

注

  1. 注113銘柄は、アドバンテスト・東京エレクトロン・レーザーテック・SCREEN・KOKUSAI ELECTRIC・ディスコ(製造装置)、キオクシア・ローム・信越化学(半導体と材料)、イビデン・フジクラ・住友電工(基板・電線)、ソフトバンクグループ。電子部品の4社は村田製作所・TDK・太陽誘電・京セラ(編集部の計算)。
  2. 注2重みは14日の終値で計算した。重みに応じず13銘柄の下落率を単純に平均すると、10.71%になる(編集部の計算)。
  3. 注3使った資料に1989年1月までの土曜の値が無いので、1949年以降の下落率の順位は「50番目より下」までにした。2000年以降で数えると37番目。相場の変動の見込みを表す日経平均VIは15日に36.13で、3月9日の57.00より低い。TOPIXの下落率が今年何番目かは、この記事では調べていない。
  4. 注413銘柄は寄り付きで、日経平均での重みに応じて平均した下落率が約5%と、SOX(4.30%安)をやや上回る下げで始まった。寄り付きの下落率をSOXの下落率(4.30%)で割った値は、アドバンテスト・東京エレクトロン・ソフトバンクグループ・キオクシアの4銘柄とも、過去1年にSOXが3%以上下げた翌日の東京の取引35日の真ん中の値(中央値)の1.3〜1.8倍だった。アドバンテストの寄り付きから終値までの10.81%安は、その35日の中で最も大きく、35日の中央値は1.15%安だった。東京エレクトロン・ソフトバンクグループ・キオクシアには、取引時間中に同程度の割合で下げた例がある(編集部の計算)。
  5. 注5韓国取引所の公示では、9時7分にプログラムの売り注文を5分止める措置(サイドカー)が発動され、12時23分に新興企業向けのKOSDAQ、12時38分に主要なKOSPIの市場で、売買そのものを20分止める措置(サーキットブレーカー)も発動された(時刻は日本と同じ)。東京の13銘柄の押し下げは、12時30分に終値とほぼ同じ大きさになっていた(日経平均の安値は12時51分)。韓国と東京のどちらが先に動いたのか、共通の原因があったのかは、公表された資料からは分からない。
  6. 注6ガートナーは同じ発表で、AIインフラへの支出は2026年に約1兆ドル、2027〜30年にさらに6兆ドルと見込んでいる。

出典

一次資料14件・報道5件

一次資料のライブラリ 「AIと社会」の資料をまとめて見る →

注1

13銘柄は、アドバンテスト・東京エレクトロン・レーザーテック・SCREEN・KOKUSAI ELECTRIC・ディスコ(製造装置)、キオクシア・ローム・信越化学(半導体と材料)、イビデン・フジクラ・住友電工(基板・電線)、ソフトバンクグループ。電子部品の4社は村田製作所・TDK・太陽誘電・京セラ(編集部の計算)。

注2

重みは14日の終値で計算した。重みに応じず13銘柄の下落率を単純に平均すると、10.71%になる(編集部の計算)。

注3

使った資料に1989年1月までの土曜の値が無いので、1949年以降の下落率の順位は「50番目より下」までにした。2000年以降で数えると37番目。相場の変動の見込みを表す日経平均VIは15日に36.13で、3月9日の57.00より低い。TOPIXの下落率が今年何番目かは、この記事では調べていない。

注4

13銘柄は寄り付きで、日経平均での重みに応じて平均した下落率が約5%と、SOX(4.30%安)をやや上回る下げで始まった。寄り付きの下落率をSOXの下落率(4.30%)で割った値は、アドバンテスト・東京エレクトロン・ソフトバンクグループ・キオクシアの4銘柄とも、過去1年にSOXが3%以上下げた翌日の東京の取引35日の真ん中の値(中央値)の1.3〜1.8倍だった。アドバンテストの寄り付きから終値までの10.81%安は、その35日の中で最も大きく、35日の中央値は1.15%安だった。東京エレクトロン・ソフトバンクグループ・キオクシアには、取引時間中に同程度の割合で下げた例がある(編集部の計算)。

注5

韓国取引所の公示では、9時7分にプログラムの売り注文を5分止める措置(サイドカー)が発動され、12時23分に新興企業向けのKOSDAQ、12時38分に主要なKOSPIの市場で、売買そのものを20分止める措置(サーキットブレーカー)も発動された(時刻は日本と同じ)。東京の13銘柄の押し下げは、12時30分に終値とほぼ同じ大きさになっていた(日経平均の安値は12時51分)。韓国と東京のどちらが先に動いたのか、共通の原因があったのかは、公表された資料からは分からない。

注6

ガートナーは同じ発表で、AIインフラへの支出は2026年に約1兆ドル、2027〜30年にさらに6兆ドルと見込んでいる。

長期金利

お金を貸し借りする期間が1年以上の場合に適用される金利の総称。満期までの期間が10年の国債の市場利回りが代表的な指標で、住宅ローンの固定金利などの基準になる。景気の先行きや物価の上昇などにより変動する。

共同通信ニュース用語解説「長期金利」(コトバンク)

記事番号 2026-10-15-02 誤りの指摘と訂正の記録

更新(2026年10月28日):日本取引所グループが10月22日に公表した投資部門別売買状況では、10月13〜16日に東証プライムで海外投資家が約3,435億円売り越した(金額ベース。株数では買い越し)。週の集計のため、15日に誰が売ったかは分からない。

Google 検索で Instr Signal を優先する →Google 検索の「トップニュース」に、このサイトの記事が出やすくなります。